No.196
The Aryl Hydrocarbon Receptor (AhR): Peacekeeper of the Skin
Hannah R. Dawe, Paola Di Meglio
Int J Mol Sci. 2025 Feb 14;26(4):1618. doi: 10.3390/ijms26041618.
皮膚の「平和維持因子」としてのアリル炭化水素受容体(AhR)
皮膚におけるアリル炭化水素受容体(AhR)は従来ダイオキシン等の毒性物質による活性化が研究されてきたが、現在は皮膚恒常性を保つ「平和維持因子」として、宿主のマイクロバイオームや紫外線に由来するトリプトファン代謝物などの生理的なリガンドによって活性化され、健康な皮膚バリアの形成や炎症の抑制を促進することが明らかになっている 。AhRのシグナル伝達は、細胞質でのシャペロン複合体による保持から、リガンド結合後の核移行、アリル炭化水素受容体核移行因子(ARNT)との結合を経て、CYP1A1やAhR抑制因子といった遺伝子群の転写を誘導するプロセスで構成され、厳密な負のフィードバック制御を受けることで、過剰な活性化を防いでいる。一方、乾癬やアトピー性皮膚炎といった炎症性皮膚疾患においては、このAhR経路の調節不全が病態に関与していることが示唆されており、AhR標的薬であるタピナロフ は炎症を抑えつつ皮膚バリア機能を改善する。またこういったAhRを標的とした治療は、化膿性汗腺炎や尋常性白斑、脂漏性皮膚炎、掌蹠角化症でも有効性が示唆されているほか、接触皮膚炎や痤瘡、脱毛症への応用も期待されている。
山川真菜 2026/03