Research当科の研究

研究テーマTheme

アトピー性皮膚炎・かゆみ

アトピー性皮膚炎の病態に関する基礎研究

アトピー性皮膚炎の病態を解明し、新たな治療法の開発に貢献することを目標に、様々なサイトカインやメディエーター、細胞内シグナルと炎症やかゆみに関する研究、樹状細胞の役割に関する研究、表皮バリア機能に関する研究など、幅広いテーマで研究を行っています。

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アトピー性皮膚炎の臨床研究

アトピー性皮膚炎の症状や日常生活への負荷を把握するための問診票の有用性に関する研究、皮膚の角層や脂質採取による小児期・成人期アトピー性皮膚炎の病態解析などを行い、研究室での実験では得られない重要な事実を明らかにしようとしています。

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かゆみに関する研究

かゆみは、皮膚疾患において主要な症状のひとつですが、その病態や発生機序はいまだ不明な点が多いです。そのメカニズム解明のため、痒みのある患者さんへのアンケート調査やマウスモデルを用いた痒み制御機構に関する研究を行っています。

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悪性腫瘍

皮膚悪性腫瘍(メラノーマ、有棘細胞がん、乳房外パジェット病、基底細胞がん、血管肉腫、皮膚付属器系悪性腫瘍など)の臨床検体や細胞株を用いて、悪性腫瘍の病態の解明や新たな治療法の開発を目指しています。特に、上皮観葉転換、がん幹細胞、シングルセル解析、多階層オミクス解析、抗体薬物複合体、がんの不均一性などのテーマに着目して研究を行っています。

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多施設共同研究

アトピー性皮膚炎の症状や日常生活への負荷を把握するための問診票の有用性に関する研究、皮膚の角層や脂質採取による小児期・成人期アトピー性皮膚炎の病態解析などを行い、研究室での実験では得られない重要な事実を明らかにしようとしています。

  • JCOG1309: 病理病期II期およびIII期皮膚悪性黒色腫に対するインターフェロンβ局所投与による術後補助療法のランダム化比較第III相試験
  • JCOG1602: 爪部悪性黒色腫に対する指趾骨温存切除の非ランダム化検証的試験
  • JCOG1605: パクリタキセル既治療原発性皮膚血管肉腫に対するパゾパニブ療法の非ランダム化検証的試験
  • JCOG2005: 頭頸部発生初発基底細胞癌縮小マージン切除に関する単群検証的試験
  • 進行期悪性黒色腫に対する術後補助療法後に関する観察研究
  • 本邦における乳房外パジェット病の予後調査
  • BRAF 陽性悪性黒色腫に対するBRAF・MEK阻害薬および免疫チェックポイント阻害薬の臨床効果に関する多機関共同後ろ向き観察研究
  • 露光部(非粘膜型/非末端黒子型)メラノーマにおけるニボルマブ+イピリムマブ併用療法の一次治療と抗PD-1抗体単剤療法の一次治療(無効後ニボルマブ+イピリムマブを含む)の効果に関する多施設共同後ろ向き研究
  • 本邦における皮膚血管肉腫に対するタキサン系抗がん剤使用成績の検討: 多施設共同観察研究
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AHR

AHRシグナル経路の解析

化学物質センサーである芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor: AHR)は、リガンド特異的かつ細胞特異的に遺伝子の転写プロファイルを制御することから、薬物代謝や環境応答に重要な役割を果していると考えられています。上皮バリア組織、特に皮膚ではAHRの発現が高く、最近の研究では、皮膚の生理や炎症性疾患におけるAHRの複数の役割が明らかになっています。私たちの研究室では、AHRシグナル経路の解析を行い、AHRシグナル経路は活性化物質によって生物学的効果が異なるという特徴があることを明らかにしています。

具体的には、AHRに働く物質は、大きく2種類に分類されます(図1)。一つは、人体に有害な反応を生じるダイオキシン、多環芳香族炭化水素といった化合物であり、もう一つは人体に有益な反応を生じる抗酸化作用を持った化合物です。この両者の違いには、薬物代謝経路、活性酸素の産生量、arteminの発現、TNF-αの産生量などが関与することが報告されていますが、詳細な機序はまだわかっていません。私たちの研究室では、AHRシグナル経路のより詳細な解析を進めています。

(図1)

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症性皮膚疾患におけるAHRの役割と治療法の開発

乾癬・アトピー性皮膚炎の発症においては、AHRは重要な役割を果たしています。特に、環境汚染物質(ダイオキシンや多環芳香族炭化水素など)によって皮膚炎が悪化するメカニズムにAHRシグナル経路が関与することが報告されています。その一方で、私たちの研究室では、紫外線療法やコールタール・大豆由来タール(グリテール)といった薬剤は、AHRに働きかけて炎症性皮膚疾患に対して治療効果を発揮することを明らかにしています。現在、AHRに働きかけることによって治療効果を期待する化合物として治療用AHR調節薬:Therapeutic AHR modulating agent(TAMA)と呼ばれる薬剤が開発中です。私たちの研究室では、乾癬・アトピー性皮膚炎に対する治療メカニズムを基礎研究・臨床研究(臨床治験)によって解明しています。

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